吉田ヘレネと金曜日の天使

* ep04 * こうして彼女は放課後を










屋上。
フェンスに凭れ掛かりながら、物思いに耽る。



「うう…」

猛省。
ひたすら、昨日の、己の愚考に、猛省する私。



「これから先、高村に、どんな顔で会えばいいか、
分からないや…」



「今まで通りでいいんじゃないか?」



「うわっ!びっくりした!」



突然のイエティの登場に、驚く私。

前回、イエティは私が自宅に居る時に現れたのだし、
金曜日の夜、私の前に現れるのが常態化しているのだから、
ここで私が驚くのは別に驚くところではないというか



「てめぇぇぇぇぇえ!
おいこらイエティ!どのツラさげて出てきやがった!」



「まぁ聞け吉田ヘレネよ。

ツイスターゲームの件は、私が悪かった。

現代の流通経済、物流システムの合理性を鑑みるに

"あれ?●mazonでいいんじゃね?"
という結論に至ってだな。

SF作家アーサー・C・クラークが定義した
クラークの三法則の中にも
"充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない"
という言葉があって、まぁ要するに、魔法というものも



「うるせぇーイエティ!
●ikipediaとかの引用だけで、それっぽいこと言ってんじゃねぇぇぇえぇ!

お前なんか、お前なんか…

こうして、こうして、こうやって…」



っ、バカ、吉田、ちょっ、やめっ、
服、脱がすnっ、
んんっ!
…きゃあ!だめ…ドレスは…
…ああぁぁあああああああ!



     **************************************

                 __
               ヽ|・∀・|ノ
                |__|
                 | |


             Now Youkaning. ...

         しばらくようかんマンでお待ちください。

     **************************************



「ぜぇ…はぁ…はぁ…

…どう、イエティ?
人前で、ドレスを脱がされた気分は…
少しは、私の気持ちが分かってもらえたかしら…?」



「ああ、充分すぎるほどにな…」



「それで、話って?」



「うむ。
天界から、そなたらのことは観覧していた。

最終的に、高村カズヤの助力なしには
勝利を収められなかったとはいえ…

そなたの奮闘ぶり、見事であった。」



…ああっ、いや!
ええと今のは皮肉とかではなくでだな!
わかった!わかったから睨むな!
すまない今のは私が悪かった!
話の本題はここからだ!」



煮えくり返る腹の底、フツフツと沸き上がる
感情を抑えつつ、とりあえず、この堕天使
ダメ天使バカ天使の言葉を、黙して傾聴する。



2流ダメ無能の天使は続けた。



「そなたが高村カズヤとの今後の関係を
憂いているのは、私も充分に理解している。

そこで、だ。

休日に、高村カズヤを、交遊の場へと誘うのはどうだろう?」




「それって、デー…」


私の話を遮るようにして、微笑をたたえながらイエティは続ける。



「ここに、グリズリーランドへのチケットが2枚ある。
1デーパスポートだから、海と遊園地、どちらも一日中、楽しめる。

それと、これは、●mazonの代金だ。
お金を払わせてしまって、済まなかったな。」



「イエティ…

(*;Д;)
ごめん!
さっきは、ヒドいこと言ったりしたりして、ごめん!

あたし、イエティのこと、誤解してた。
イエティは、とっても優しい、良い人だね♪」



「私のことは気にするな。
高村カズヤも、きっと、そなたからの交遊の誘いを、
喜んで応じてくれるだろう。」



「そ、そそそ、そうだよねっ!

なんてったって、高村は、あたしのこと好きだもんねっ!」



「ふふっ…だが、急いてはならぬぞ。
殿方の気持ちを察した上で、あえて焦らすというのも、
淑女の嗜みというものだ。」



「や、やだなぁ、そんなー!
まるであたしが悪女みたいじゃんか!」



「それでは邪魔者は去るとしよう。
吉田ヘレネよ…

デート、頑張るが良い。」



「デー、デートだなんてそんなぁ!やだーもー!
 ヾ(▽⌒*)キャハハハo(__)ノ彡_☆パンパン!!

イエティは、冗談が上手いんだからぁー!
。゚(゚^ヮ^゚)゜。アハハハハハ」



「くれぐれも上着を脱いではならぬぞ、吉田ヘレネよ。
くっくっく…」



「てめーイエティこらぁ!!!
次その話題だしたら、てめーん家のトイレに
浄化槽サンポールを瓶ごとぶちまけて
やたらとさわやかな香りで包むぞコラぁ!!!」



「吉田ヘレネよ。
浄化槽サンポールはプラスチックの容器なのだが…」



「いいから!てめぇ!イエティ!

と っ と と 去 ね ぇ ー !!!」




…というわけで。
私は、高村をグリズリーランドへ誘うことにした。





この時は、それが悪夢の始まりだとも知らずに。








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